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東京地方裁判所 昭和50年(ワ)9690号 判決

原告 高山忠泰

被告 敷島建設株式会社

右代表者代表取締役 橋本末市

被告 敷島建設住宅組合

右代表者理事長 橋本末市

右被告両名訴訟代理人弁護士 荻津貞則

主文

原告の被告敷島建設住宅組合に対する訴を却下する。

被告敷島建設株式会社は原告に対し金一〇〇〇円及びこれに対する昭和五〇年一一月二一日以降完済に至るまで年六分の割合による金員を支払え。

原告の被告敷島建設株式会社に対するその余の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

(申立)

一  原告は、「被告会社は原告に対し金八八万七九〇五円及びこれに対する昭和五〇年一一月二一日以降完済に至る迄年六分の割合による金員を支払え。被告組合は原告に対し金二七二万三五五四円及びこれに対する昭和五〇年一一月二一日以降完済に至る迄年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告らの負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求めた。

二  被告組合は本案前の申立として「原告の被告組合に対する訴を却下する。」との判決を求め、本案につき、被告らは「原告の各請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求めた。

(主張)

一  請求の原因(原告)

1  被告会社に対する関係

(一) 原告は昭和四二年四月一日被告会社に雇用され、昭和五〇年四月三〇日退職した。原告の退職時の一か月の基本給は金一五万四七〇〇円で、勤務年数は八年一月であったから、給与規定により最初の四年は基本給の一〇〇分の二五の四か月分、残る四年一月は基本給の一〇分の五の四か月と一二分の一か月分、自己都合による退職なのでいずれもその二分の一を減じた金二三万五二七二円が退職金である。

(二) 原告は退職時まで被告会社の株式を所有していた。

(1) 原告は退職時に所有していたその株式一万四九〇〇株(一株の額面五〇円)を被告会社に額面額で売渡した。被告会社はその代金七四万五〇〇〇円のうち金五五万一八六一円を支払っただけで、残金一九万三一三九円となる。

(2) 被告会社は原告所有の株式につき、昭和四七年度金一三万五〇五五円、昭和四八年度金一八万四七九九円、昭和四九年度金二二万〇七二六円の利益配当を決めており、これから源泉所得税合計金八万一〇八六円を控除した残金四五万九四九四円となる。

(三) よって、原告は被告会社に対し右(一)(二)の合計八八万七九〇五円とこれに対する訴状送達の翌日たる昭和五〇年一一月二一日以降完済に至る迄商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。

2  被告組合に対する関係

被告組合は被告会社代表者の橋本末市を理事長とし、被告会社の従業員を構成員とし、従業員の住宅とその用地購入資金の貸付等を目的として、昭和四五年三月一日成立した社団である。

被告組合の規定によれば、被告会社の従業員は雇用と同時に組合員資格を取得し、退職と同時にその資格を喪失すること、従業員(組合員)は被告会社から支払われる給料のうち一三〇分の三〇に当る金員中これに相当する所得税、社会保険料、住民税を控除した残金を出資すること、従業員が組合員資格を喪失した時は、理事会において出資金返還の時期方法を協議決定することになっている。

原告は被告組合成立と同時に組合員となり、昭和五〇年四月三〇日被告会社を退職するとともに、被告組合を脱退した。原告はその間に出資した金二七二万三五五四円の返還を退職時に請求した。

よって、原告は被告組合に対し右出資金二七二万三五五四円とこれに対する訴状送達の翌日たる昭和五〇年一一月二一日以降完済に至る迄民事法定利率年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  答弁(被告ら)

1  本案前の抗弁(被告組合)

被告会社は従業員の福利厚生の一環として住宅の確保を目的とした制度を企図し、全従業員の同意を得た。その資金として被告会社が従業員に対して毎月支払う給与額につき名目上その三割の金額を、年二回支給する賞与につき各一か月分の金額をそれぞれ上乗せして支払う形式をとり、本来の給料との差額を従業員が出資したことにして積立てるというものであった。これは税法上被告会社の給与経費として認められようとする税金対策上編み出した形式である。恰好を整えるために名称を被告組合のとおりとし、形だけの規約を制定した。構成員、目的、成立時期、規約の内容は請求原因2のとおりである。被告会社代表者の橋本末市が被告組合の代表者となった。このようにして積立てられた資金は、実際は従業員(組合員)の出資ではなく、被告会社の出捐した福利資金である。

従って、被告組合は民事訴訟法第四六条にいう社団ではないから、当事者能力を有しない。

2  本案についての答弁

(一) 被告会社

(1) 請求原因1(一)の事実中原告の退職時の一か月の基本給が金一五万四七〇〇円であったことは否認し、その余の事実は認める。

原告退職の一か月の基本給は金一一万九〇〇〇円であったから、これを基礎とするほかは原告主張の算式によって計算すると、原告の退職金は金一七万九九七九円となる。右基本給の三割にあたる金三万五七〇〇円は後記のとおり原告の給料ではないのにも拘らず、原告はこれを加えて基本給を金一五万四七〇〇円と主張しているに過ぎない。

(2) 同(二)冒頭の事実は認める。

同(1)の事実中原告が退職時に被告会社の株式一万四九〇〇株(一株の額面五〇円)を所有していたことは認める。その余の事実は否認する。原告からその主張の株式を買取ったのは被告会社ではなく、橋本末市個人である。

同(2)の事実は認める。

(二) 被告組合

請求原因2の事実中被告組合が社団であること、原告の出資額が金二七二万三五五四円であることは否認し、その余の事実は認める。

三  抗弁(被告ら)

1  被告会社は昭和五〇年七月三一日原告に対し退職金一七万九九七九円を支払って、皆済した。

2  被告組合設立の経緯は本案前の抗弁のとおりである。被告会社は三割上乗せの給料と各一か月分上乗せの賞与について計算を行い、これとは別に現実に支払った本来の給料賞与についても計算を行って、二重計算を行ってきた。上乗せ分等について所得税、社会保険料、住民税は本来の給料等のそれよりも多額になるが、その差額は上乗せの出資金扱いにしたうちから支払い、従業員には迷惑のかからないように、本来の給料等によるもの以外は一切負担させなかった。原告の離職票や所得税確定申告書記載の給料等の額が上乗せ額を含むものになっているのはそのためである。原告主張の給料額が上乗せ額を含むものであり、それによる源泉徴収票があるのは、原告から住宅資金借入のため上乗せ額を含むものによるのが欲しいとの要望に基づいて被告会社が発行したのであって、これによって上乗せ額を含むものが給料等であることを承認したからではない。被告会社はその後品川労働基準監督署や東京国税局の立入検査を受け、その結果も上乗せ額については給料等でもなく、従業員の出資金でもないということになった。原告はこの経緯を知悉している。

3  被告会社は従業員に被告会社の株式を割当て、持株制度を実施してきた。従業員たる株主は新株引受にあたって、株式引受申込書とともに退職時の株式譲渡証に記名捺印をするだけで、その払込をせず、その分は橋本末市から個人的に立替支払を受けることになっていた。同人は毎決算期における利益配当金をもって順次支払をして決済していくことになっていた。配当金の剰余についてはこれを従業員各個人名義の預金をして被告会社が管理し、配当金に対する公課負担金に備え、所得税確定申告も代行していた。その収支は帳簿上常に明らかにしている。従業員の退職時には、橋本がその株式の譲渡を受け、配当金、譲渡代金と立替金、公課等とを精算して残余があれば従業員に還付することになっていた。

原告は退職により精算の結果金五五万一八六一円を受領している。これは金二〇万九六〇三円の過払となる。

四  抗弁に対する答弁(原告)

1  抗弁1の事実は認める。その主張は争う。

2  同2の事実中原告の離職票や所得税確定申告書記載の給料等の額が被告らの所謂上乗せ額を含むこと、被告会社が原告主張の給料額による源泉徴収票を発行したことは認める。被告会社が二重計算を行ってきたこと、被告らの主張する上乗せ分等について所得税等の差額を所謂出資金扱いの中から支払ってきたこと、被告会社が品川労基署や東京国税局の立入検査を受け、その結果所謂上乗せ額については給料等でないということになったことは不知。その余の事実は否認する。

3  同3の事実中被告会社が従業員に被告会社の株式を割当て、持株制度を実施してきたこと、原告が金五五万一八六一円を受領したことは認める。その余の事実は否認する。

従業員の持株には、無償株もあれば、功労株もある。原告が被告会社と株式譲渡について話し合ったのは昭和五〇年六月二〇日である。原告の主張は、その際の被告会社の説明に従ったのである。原告の受領した右金員は株式譲渡代金の内金である。被告会社はこれまで従業員の持株を公表したこともない。原告は株主でありながら株主総会召集の通知を受けたこともない。

(証拠)《省略》

理由

一  被告組合の当事者能力について

被告組合が被告会社代表者の橋本末市を理事長とし、被告会社の従業員を構成員とし、従業員の住宅とその用地購入資金の貸付等を目的として、昭和四五年三月一日成立したこと、被告組合の規約によれば、被告会社の従業員が雇用と同時に組合員資格を取得し、退職と同時にその資格を喪失すること、従業員(組合員)が被告会社から支払われる給料のうち一三〇分の三〇に当る金員中これに相当する所得税・社会保険料・住民税を控除した残金を出資すること、従業員が組合員資格を喪失した時は理事会において出資金返還の時期方法を協議決定することになっていることは当事者間に争いがない。

右事実によれば、被告組合はその規約上、一定の目的をもち、構成員の資格得喪を定め、資金についても規定があり、代表者の定めもあって、現に代表者が存在しているので、これからすれば、一見権利能力なき社団として民事訴訟法第四六条に規定する場合に該当するかの外観をもっている。

被告組合が果してその外観に副う実体をもつかどうかを検討するに、《証拠省略》を綜合すると、被告会社代表者の橋本末市は被告会社の行う福利厚生の一環として従業員に住宅等の資金貸付を企図したこと、そのための資金を被告会社が直接出捐するときには、法人税については被告会社の利益金から捻出したことになり、これも課税の対象となること、もしこの資金を、被告会社の経理の操作によって、被告会社が従業員に支払う給料等を水増して、本来の給料との差額をあたかも従業員が一旦受領したうちから自発的に出資した体裁をとることにすれば、実質は被告会社の出捐でありながら、税法上は法人所得として課税されず、給与経費として処理されることになり、課税額において顕著な差異があることに着目し、従業員を説得して、このやり方に従えば、被告会社は被告組合の名称のもとに多額の法人税を免れることができる一方、従業員の所得税・社会保険料・住民税等の増加分は右出資と称する資金から支弁して、従業員個人に一切迷惑をかけないし、住宅等の資金貸付を受けるという便益も享受でき、双方にとって好都合である等と言って協力を求めたうえ、被告組合なるものが設立されたこと、実際は被告会社代表者が被告組合代表者を兼ね、被告会社がその資金を管理して、貸付等に当っていたこと、これまで退職して行った従業員もこの経緯を知悉していたので出資金返還を求めたこともなかったこと、本件紛争を契機に労働基準監督署や国税局に以上の絡繰が発覚して摘発された結果、その外観如何に拘らず、実質に従って、右出資金につき改めて法人税が課せられ、被告組合もこれによって解消したことが認められる。

右認定事実を綜合すると、被告組合の実体はこれを敢えて架空と呼ぶかどうかはともかく、被告会社の行う事務の一部でありながら、従業員のためを慮った福利厚生の美名のもとに課税を免れるため団体成立を仮装したものであるといわなければならない。その外観体裁にも拘らず、これをもって実在の社団と見るわけにはいかない。

してみれば、被告組合は民事訴訟法第四六条にいうその名において訴えられることのできる社団と認められない。従って、原告の被告組合に対する訴は当事者能力を欠くものとして不適法であるから、却下すべきこととなる。

二  本案について

1  原告の退職金について

(一)  請求原因1の事実中原告の基本給額を除くその余の事実は当事者間に争いがないので、原告の退職金が幾何かは退職時の基本給額如何によるということになる。

(1) 《証拠省略》によれば、それは一か月金一一万九〇〇〇円であったことが認められる。

(2) これに対して原告は一か月金一五万四七〇〇円であったと主張する。確かに、原告の離職票や所得税確定申告書記載の給料等の額が被告会社の所謂上乗せ額を含むこと、被告会社が原告主張の給料額による源泉徴収票を発行したことは当事者間に争いがない。《証拠省略》によれば、被告会社が同一年度(昭和四九年)の給与所得源泉徴収票につき金額を異にして二重に発行したことが認められる。

しかし、前記一で説示したところから明らかなように、被告会社の経理上の操作によって原告の基本給についても二本立となっており、《証拠省略》によれば、原告が現実に受領していたのは金一一万九〇〇〇円であって、その三割にあたる金三万五七〇〇円は被告組合に出資する形をとって、帳簿上これを含む金一五万四七〇〇円が被告会社で処理されていることを認めることができる。

右の三割上乗せ分がもし賃金であるならば、被告会社は労働基準法第二四条の全額払に反するものと言わざるを得ないけれども、右に見たところから明らかなように、右上乗せ分はそもそも賃金にあたらないものというほかない。いわば被告会社と従業員との間の合意によって上乗せ分を含めた額を基本給額として仮装記帳しただけのことであるからである。被告会社のやり方がいかに違法であり、脱法的であるからといって、これによって賃金でないものが賃金に転化するものではないというべきである。

(3) 右認定の金一一万九〇〇〇円を原告の退職時の基本給としてその退職金を計算すると金一八万〇九九七円となることは明らかである。

(二)  被告会社が昭和五〇年七月三一日原告に対し退職金一七万九九七九円を支払ったことは当事者間に争いがない。右認定の退職金からこれを控除すると残金一〇〇〇円となる。

2  原告の株式譲渡代金、利益配当金について

(一)  原告が退職時まで被告会社の株式を所有していて、退職時にはそれが一万四九〇〇株(一株の額面五〇円)であったことは当事者間に争いがない。《証拠省略》によれば、被告会社は従業員の定着を図る等の目的で従業員に自社株式を持たせていたこと、昭和四六年四月一日この制度を成文化して増資新株式配分規定を制定し、これによれば、被告会社創立前後からの株主(固有株主)の持株合計と現業役員及び従業員(従業員株主)持株合計で発行新株式数を按分し、固有株主分は持株に応じ、従業員株主分は各従業員の基本給・勤続年数に応じ引受権を割当てる(第一条)、従業員の新株引受払込金・退職者譲渡の株式譲受代金は固有株主か現業役員株主が立替払込を行い、立替を受けた株主はその株式の利益配当金をもって毎年残高に対して応分の利息を加え順次償還する(第二条)、従業員持株の利益配当金は右の立替金償還・新株引受払込金に当て、残額は各株主名義で預金して、株式譲受代金の払込又は利益配当金による公課等の支払に充当する(第三条)、従業員株主が退職した場合、全持株を被告会社に一任して譲渡し、その譲受代金は「退職者持株合計額面額―(新株引受株式譲受時立替金合計高+配当金に対する所得税・住民税支払合計高+毎年配当償還後の立替残高に対する応分の利息-退職者の持株開始後の配当金合計額)=対退職者支払株式譲受代金」の算式によって計算する(第四条)、株式の価格は額面金額を超えないものとする(第六条)等を定めたこと、これは従業員が何ら損をすることなく、利益配当金だけ貰える完全な福利制度であると被告会社が自賛していることを認めることができる。結局、この制度は被告会社の自賛にも拘らず従業員の定着と給与規定による退職金の不満をそらすに過ぎないものということができよう。

右の「応分の利息」が幾何かは、《証拠省略》によれば、それが年一割の割合によることが窺われ、《証拠省略》にも利息額の記載があることを看取することができるけれども、本件においては原告に対する立替が何時なされたかを認める資料はないので、結局本件においては約定利率とこれによる利息額の算定を認めるには十分でないというべきである。

《証拠省略》によれば、株式取得の立替と退職時の株式売買は常に額面に従ってなされていること、原告の場合、橋本末市が立替え、買受けたことが認められるので、これを基礎にして考えてみるのに、原告と橋本末市との間には、原告が退職時の株式譲渡代金債権をもつとともに、株式取得のための立替金債務を負うことになる。立替金の利息の点はここでは暫く計算の外におくとして、右の債権債務は常に同額であるから、これだけを問題にするならば退職時相殺することによって、現実に金銭の授受を行うことなく処理されることになる。(《証拠省略》によれば、原告の退職時の持株数は、右争いのない金一万四九〇〇株に新株五五二〇株を加えて合計二万〇四二〇株であることが窺われるので、原告主張よりも多くなる。持株数が幾何であれ、その多寡に拘らず、その譲渡代金と立替金とは常に同額であるから、右に説示したところには影響がない。)

右立替金については毎年の利益配当金をもって順次その弁済に充てること前認定のとおりであり、被告会社が原告所有の株式につき昭和四七年度金一三万五〇五五円、昭和四八年度金一八万四七九九円、昭和四九年度金二二万〇七二六円の利益配当を決め、これから源泉所得税合計金八万一〇八六円を控除した残金が金四五万九四九四円であることは当事者間に争いがない。この利益配当金をもって右立替金の弁済に充てても、退職時の立替金残金二八万五五〇六円となり、これと株式譲渡代金債権とを対当額で相殺すると、原告が有する株式譲渡代金債権は右利益配当金と同額になる。原告が株式譲渡代金として金五五万一八六一円を受領したことは当事者間に争いがなく、《証拠省略》を綜合すると、右金五五万一八六一円は株式譲渡の精算であり、これは株式取得時の立替金等と株式譲渡代金だけではなく、右配当金をも含めて、被告会社・橋本末市を一体として原告との三者間で精算したことが認められる。これからすれば、立替金の利息が幾何かを棚上げにして原告に有利な計算をしても、原告はその主張のような株式譲渡代金について既に支払を受けたものというべきである。

(二)  被告会社が原告所有の株式につき右のように利益配当を決め、それが金四五万九四九四円であることは当事者間に争いがない。これが株式取得時の立替金の弁済に充てられ、退職時の株式譲渡代金とともに精算されたことは既に見たとおりであるから、原告がもはやこれを請求し得ないことも明らかである。

三  以上の次第であるから、原告の被告組合に対する訴を却下し、被告会社に対する請求は退職金残金一〇〇〇円とこれに対する訴状送達の翌日たること記録上明らかな昭和五〇年一一月二一日以降完済に至るまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容すべきも、その余は理由がなく、棄却を免れない。よって、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条、第九二条但書を適用し、仮執行の宣言はその必要がないものと認めこれを付さないこととし、主文のとおり判決する。

(裁判官 富田郁郎)

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